「恋愛」や「結婚」については、ちまたで幾兆ものドラマやパターンやスキームが語られております。どういう恋愛がステキで、どういう結婚が理想かというのは、それこそ個人によってバラバラです。なぜなら、恋愛や結婚は、「相手に危害を加えないかぎり、どんなカタチでも、当人同士が了解していればOK」というものだからです。
ですから、自分の結婚や恋愛について、他の方々の参考になるかというと、参考になる人もいれば、ならない人も絶対にいるはずです。「こんな、どこの馬の骨か分からない人間から、恋愛について御託を並べられるのは迷惑」という方もいるでしょう。絶対いるはずです。
それでも、いちおう自分は国際恋愛や国際結婚をした人間なので、周囲で国をまたぐ恋愛のいろいろなパターンを見聞きしているのは間違いありません。そして、しばしば国際恋愛や国際結婚について相談を受けることがあります。日本人が体験している国際恋愛や国際結婚について、感銘を受ける点も、疑問を持つ点も、心を痛める点も、ままあります。
というわけで、読者の方がいままで読んだことのある国際恋愛・国際結婚の話とは趣きが異なるかもしれませんが、「国際結婚・国際恋愛を楽しみ、安泰にする3つのポイント」を並べてみます。あくまで幾兆もある恋愛や結婚のうちの、たったのイチ意見と思って、読んでみてください。
ポイント1.「違い」を、とことん笑いに変える
国際結婚・国際恋愛の場合、お互いの国の文化の違いで困惑することも多くあります。私の場合、ミャンマー人の夫が自分の国に帰るたびに、空港の入国カウンターで入国管理官にワイロを渡さねばならないという理不尽なことがありました。日本の場合は、入国審査時に、空港カウンターで袖の下を流すなど考えられませんが、かつてミャンマーではよくある話だったのです。
「なんで? 自分の国に入るために金を遣うなんて」と立腹するのは簡単です。しかし、他国には他国のやり方があります。ワイロであっても、その国なりの理屈と流儀があるのです。
「薄給の入国管理官から見れば、貨幣価値の高い日本から帰ってきた同国人にジェラシーがある。日本から帰った人間から見れば、薄給で働く同胞への同情がある。そして公務員が臨時ボーナスを得るには、ワイロ以外に道がない」という理屈です。そして、さりげなく薄給の同胞に金を渡すのが、「この社会の当然の流儀」といった雰囲気がありました。
お互いの文化の違いを、納得がいかないと嘆いていても、違いは違いのまま存在しています。ですから、「違うって、おもしろい」と笑いに変えたほうが、楽しい生活を送ることができます。砂を噛むような理不尽な出来事も、時間がたてば、いずれ過ぎ去り、文字通り「過去」となります。だから笑い飛ばしてしまいましょう。
「ワイロなんて、正当ではない!」という建前は置いておいて、「ワイロ? まあ、交渉手段としては、すばやく解決できる方法だし、お金は、世の中の交渉ごとをスムーズに進めるのに役立つな」と、別の側面から物事を見るのです。はじめは慣れないかもしれませんが、だんだん異文化を楽しむ余裕が出てきます。
まあ、こんなネタでなくとも、料理の仕方の違いですとか、日常のレジャーの過ごし方の違いなど、なにげないコトで違いを楽しむって話でもいいんですが……。
ポイント2.お互いの国を学び、エンジョイし、尊敬する
これは結婚相手とではなく、あるオーストラリア人の知人とのやりとりですが、「第二次世界大戦で負けたのはドイツも日本も同じ。それなのにドイツに比べて日本は、アメリカに従属的だよネ」という話をされたことがあります。
日本人としてはいわずもがな、承知している日本国の事情ですが、人間とは、みずから分かりきっている自分の弱点を指摘されると、頭に来るものです。ましてやさまざまな事情や環境によって生じている政治問題について、自国の批判を、他国の人間から聞かされるほど、憤りを感じるものはありません。「ドイツの周辺に核保有国で、かつ問題国家があるか?」などと問うても、相手が納得するとは思えません。
件のオーストラリア人のせりふには、日本というアジアの国の政治の未熟さを嘆く姿勢があるわけです。するとこちらも、「先住民の権利を無視して国を築いた人々の末裔には、帝国主義に脅かされたアジア人の気持ちは分からないワイ!」と思って、お互い気持ちが平行線をたどることになります。人間関係では、相手の過ちや弱点にフォーカスすると、いつまでも接点を見出せないのです。
私の住む神奈川県には米軍基地があり、日本人と外国人の恋愛や結婚の様子を見かけることが、小さい頃からよくありました。ある日、電車に乗っていたら、朝鮮半島情勢について、中国と日本の政治的対応の是非を討論している白人男性と日本人女性の熟年カップルを見かけました。日本人女性の日本の立場を主張して、白人男性は中国や朝鮮半島について独自の考えを述べています。はっきり言って、その会話はずっと噛み合いません。最後には熱い激論になりながら、カップル二人で電車を降りていきました。
長年連れ添っても、出身国や出身文化圏が違うと、意見が合わないことはあるのです。こうなると、「ずっと一致しない考えを持ちながら、共に生きること」を楽しむことが得策になってきます。そして、できれば恋愛・結婚相手の国をよく学び、相手国の弱点を挙げすぎず、相手国の長所を尊び、相互の国の良いところを取り上げて、二つの文化を、自分たちでアレンジして生活に組み込んでいくのが良いと思います。
ポイント3.真の「悪」が存在することを自覚する
恋愛・結婚コラムなのに、楽しくなさそうなポイントで申し訳ありません。しかし、相手を悪だと疑わない無防備さと無邪気さこそが、日本人の国際恋愛や国際結婚を路頭に迷わせることにつながるからこそ、ここではあえて苦言を呈したいと思います。
ここでの「悪」は「ワル」と読んでいただいても、「アク」と読んでいただいても構いません。筆者が言う「悪」とは、相手の気持ちを忖度していては、ものごとが進まないから、手段を選ばず自分の利益を追求してしまう人間の性、とも表現することができます。
つまり、「世界の多くの人々は貧困にあえぐ苦しさや残酷な犯罪を見聞きしたり経験していて、そこから脱出するために、あらゆる方策を練って努力をしている」世界があるということです。
こうした状況を見聞きし、もしくは経験して生きてきた人々は、周囲の人々に「迷惑がかかる」などと慮っていては、生き延びることができない場面があります。冷淡な心を持っていないと生存が難しい日常が存在しているのです。
だから、厳しい環境で日常を過ごしてきた人々は、人間関係の築き方が異なります。少し付き合っただけでは、表面的には分からないことが多いですが、「家族以外は、自分に危害を加える敵かもしれないとの思いが基本としてあって、場合によっては家族も敵になり得る」という考えに基づいて、人間関係を保っているところがあります。
「隣人を自分自身のように愛しなさい」とは、聖書に出てくる、古くからの教えです。しかし一方で、隣人は信じられないから、お付き合いするには、慎重に判断しなさいという考え方もあるのです。
大げさだとお思いですか? でも筆者の見た、夫の国ミャンマーの人々の考え方は、上に書いたようなものが多かったです。そして、油断していると、家族から多大な借金を背負わされたり、犯罪に巻き込まれそうになったり、自分のビジネスを全部横取りされそうになります。自分がもうかりそうだと思えば、友人の顧客は盗みとるのが日常だったりします。
日本にいると、「隣人みな敵かも」という考え方はむちゃくちゃかもしれません。しかし「家族以外は敵かもしれない」という意識で生きる処世術は、日本を出ると、あながち間違いではないですし、大失敗しないための重要な行動指針になります。
とりあえず多くの人が衣食住足りて生きる日本で育った人が、こうした無慈悲さを100パーセント理解するのは、本当に難しいことです。
ですが、国際恋愛や国際結婚をするにあたっては、相手の出身国を問わず、好きになった相手がこうした無慈悲な価値観を持っていても付き合っていけるか、本当にワルでないかを見極める必要があります。そして相手がワルすぎた場合は、容赦なく関係に見切りをつける厳しさを持たねばなりません。
数年前に、神奈川県パスポートセンターの待合席にあるテレビモニターに流されていた動画では、「日本女性が油断して外国の男性の甘言に従ったあげく、とんでもない被害に遭う(そして尻拭いは、在外公館を管轄する日本国外務省がするんだヨ)」という内容でした。その薄暗い映像の画面を観ながら、「世界の無慈悲さを知らない日本人は幸福であり、またそれが原因で、海外では不便なことがある」と実感したのです。
いかがでしたでしょうか?
最後に、お付き合いする方の国籍が自分と同じでも、違っても、円滑な関係を築くまでに、数多くのカップルが、たくさんのコミュニケーションを繰り返しているのだと思います。
上の3つのポイントは、どれも相手とのコミュニケーションを通じて理解・判断していくものです。 陳腐ですが、相手を一層理解するためのコミュニケーション通じて、幸せなカップルが増えることを願っています。
この文章の筆者の本はコチラ。
執筆者プロフィール
深山 沙衣子(みやま・さえこ)
日本ミャンマー支援機構株式会社(ミャンマー人の夫と共に創設)日本人アドバイザー。
1979年東京都生まれ。神奈川県育ち。立教大学文学部心理学科卒業。 横浜中華街に近い高校に通うことで、10代のころから、日本にいる外国人との共生について考えるようになる。20代から東南アジア各国を旅行し、東南アジアと日本をつなぐことに興味を持つ。
大学卒業後、マレーシア国営企業子会社の日本支社にてLNG(液化天然ガス)輸入貿易事務に携わる。
リクルートの広告代理店にて求人広告や新聞広告制作に従事したのち、出版社で雑誌の編集記者となる。2010年より本格的にフリーライター、ジャーナリスト活動を開始。
2011年、ミャンマー人の難民として日本に来た男性と結婚。自身の執筆活動を通じて、東南アジアで最も未知の国ミャンマーを表現すること、また日本における多文化共生や、多様な価値観の共存をテーマにする。
2012年、日本ミャンマー支援機構を起業。ミャンマー人の日本におけるトータルサポート(就職・留学・法的手続き・書類作成・仕事紹介・住居紹介・観光案内)、日本企業や日本の行政機関のミャンマー進出支援及びサービス提供を行う。現在までに、日本・ミャンマー・韓国・シンガポール企業などのサポートにおいて、300社の実績がある。
2016年4月下旬、「ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール~善人過ぎず、したたかに、そして誠実に~」(発行:合同フォレスト、発売:合同出版)を発表。
2017年 特定非営利活動法人リンク トゥ ミャンマーを設立し、理事長に就任する。
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